KITAMULABO

本気で自作PCを作ってみた2020⑤レーザー加工機編

/ 20.03.28
DIY

いよいよ加工に入っていきます。今回はメインのレーザー加工機による作業方法について解説します。レーザー加工機は自宅から車で15分ぐらいのところにある、ホームセンターの工作室で時間貸ししてもらえるので、そちらをフルに利用します。当方は中国地方の広島市在住ですが、市内ならカインズLECT広島店がおすすめです。

データの作り方

まずは事前に加工用のデータを作成しておく必要があります。データ形式はイラストレータで線データを読み込みます。イラストレータはdxfも読み込めるので、jww_cadで作図してdxf形式で保存したものでもOKです。もちろんイラストレータに慣れている人はそれで作成した方がスムーズです。

Jww_cadで作成したデータ

3つ大きな島がありますが、左からそれぞれ2mm・3mm・5mmのデータです。今回は大量にカットするので効率的に作業が出来るようにデータを考えて作りました。ポイントは以下の4点。

  1. 加工機に入るだけ、一度の加工で出来るだけ多くのパーツ切れるようにする。
  2. 加工順に線を色分けしておく。
  3. レイヤー分けは色ごと、ではなく、一回に加工するデータでまとめる。
  4. dxfファイルは複数に分けない。1ファイル内に全ての線データを描いておく。

1.は使用する加工機のサイズを知っておく必要があります。今回使用するSpeedy300は最大加工サイズが726x432mmです。切り出す1枚のパーツが275x275mmなので一度に2枚切り出せます。同じ厚みなら違う色の違うアクリル板でも一緒に加工できるので、300×600の板と300×300を2枚並べるようにデータを並べました。

2.は切る順番を考えて色分けしてしておきます。細かい切り抜きになる部分を先に、外側のアウトラインを最後にして何色かに分けておきます。ちゃんと設定しておかないと、切り落ちて位置がずれた上に焦点のあってないレーザーが想定外の線を引いて、材料が無駄になります。

3.も重要なポイントです。何となく普段からCADを触ってるものからすると、加工順の色分けでレイヤーを分けてしまいがちですが、今回は1加工、1シートごとに1レイヤーとして分けます。大量のデータがある場合はこちらの方がイラストレータ上で作業しやすいです。

4.これも重要です。こうすることでイラストレータでの読み込みを1回で済ませることが出来ます。イラストレータ上での作業をいかに簡単に済ませられるかがコツです。その理由は後で出てきます。

作業の流れ

それでは実際に作業に入っていきましょう。大まかな作業の流れは以下になります。

  1. データの入ったUSBフラッシュメモリを、設置のノートPCに差し込んで、作成した線データをイラストレータに読み込む。
  2. イラストレータで線種の設定をし「JobControl」 という専用のCAMソフトにデータを送る。
  3. 「JobControl」上で加工位置の調整と出力設定を行う。
  4. 材料を加工機にセットして、レーザーの焦点を合わせる。
  5. 加工スタート

あとは必要な枚数だけ2-5の繰り返しです。

準備

これがレーザー加工機。業界ではかなりメジャーなやつ。「trotec Speedy300」

右側の張り紙がしてある方が加工機の本体になります。左側のは集塵ユニットで、匂いや切粉を吸い込むためのものです。その集塵ユニットの上に載っているノートPCからデータを送ります。

レンタルの受付をして、はいどうぞって言われても、本体の電源が入ってないことがあります。電源スイッチはメインの加工機の背面、左上角の方にあるので、付いてなかったらさも当たり前のようにONにします。

こんなところにスイッチがあるなんて、なんという初見殺し。

設定用のノートPCとレーザー加工機が接続されていない場合は横のUSBケーブルをノートPCに接続します。そして、必ず自分のノートPCも持ち込みます(手前のSurface)。実際に作成したCADデータをチェックしたり、問題を発見したらその場で修正できます。

作業環境を確認します。trotec社のHPに最適な環境条件が載っています。
【室温】+15 ℃~+25 ℃
【相対湿度】40%~70%
一応問題ないかチェックしておきます。気温が少ないなら少し出力を上げる等の調整が必要かもしれません。この機械はスチール製なので、マグネット付きの温度計ならくっつけておくことが出来ます。上の丸いのはキッチンタイマーです。加工時間を測定します。

材料を置く加工台が水平に据え付けられているか確認します。

レーザーが出てくるノズル部分に目立った汚れがないか、前の人の削りかすが付着してないか検査鏡でチェックします。気になったらレンズクリーナーとか、眼鏡ふきで掃除します。

イラストレータでの作業

準備が出来たら備え付けのノートPCでデータを読み取ります。ただ、注意しないといけないのが、このPCめちゃくちゃスペックが低いんですよね。イラストレーターを開かないといけないのにメモリも少ないし、画面の解像度も低くてメニューが十分に表示されていない状態です。なのでイラストレータ自体よく落ちます。再起動で数分かかりますが、その無駄な時間、全て加工作業時間として取られていきます。なので、イラストレータ上の作業をいかに少なくするかが、全体の作業時間を減らせる一番の方法だと思います。(あくまでここのカインズに限ってのことですが。)レーザー加工機のドライバーを自分のPCにインストールできないので、仕方ありません。

イラストレータで作成したDXFファイルを読み込みます。作成した図面によっては縮尺を調整する必要があります。

とりあえず情報ウィンドウを表示して、適当な線をクリックしてから縮尺があっているか確認。また全ての加工線を範囲選択し、線の太さを0.003pt(0.001mm)に設定します。そして全てのレイヤーを開いた情報のままで、適当な線をクリック。「選択」>「共通」>「カラー(線)」とメニューを選択して、同じ色を一括選択。そしてレーザー加工機用のカラーセットに1色ずつ変更していきます。

全ての加工線を変更したら、加工したいレイヤーのみを表示して印刷設定を行います。表示中のレイヤーのみ印刷という設定で、レーザー加工機のドライバーで設定してプリントすると、専用のCAMソフト「JobControl」にデータが飛びます。

とかやってるとイラストレータが落ちました。線とプリンタの設定が終わったら必ずイラストレータ形式でもファイルを保存しておきましょう。

JobControl での作業と設定値

「JobControl」では加工データの配置と、色分けした線ごとにレーザーの出力を決定します。設定するパラメータは以下の通り。

  • パワー
  • スピード
  • PPI/Hz
  • Passes
  • Air assist
  • Z-Offset

Z-Offsetはかなりの厚物を切るときの設定なので今回は0のまま。

Passesも全て1階で切りたいので1のまま。

PPI/Hzは周波数ですが、これは材料の硬さによります。アクリル板と一言で言っても、 大きく 押し出し材とキャスト材の2種類があるのですが、硬いキャスト材の方がレーザー加工にむいている(断面がきれい)らしいので、今回は全てキャスト材としました。この場合はPPI/Hzは10000とします。押し出し材や他のMDF板では1000でいいので、ここが間違いやすいポイント。今回もいくらか切り損ねてしまいました。

Air assistは切りくず・粉を吹き飛ばす空気のオン・オフです。通常のカットはオンでいいようですが、透明部材のカット面をより滑らかにしたい場合はオフの方がいいということもあるみたいです。

あとは厚みによってパワーとスピードを調整します。パワーが高い方が厚いものが切れるが、高すぎると溶ける、もしくは発火する。スピードが速い方が早く切れるが速すぎると切り損なうという相関なので、事例を参考に何度か試し切りを行います。(試し切りの小さいデータを作っておくと無駄が少ないです。)

今回各厚みごとの設定は以下の通り。
※必ずしもこの設定でうまくいくことを保証するものではありません。

厚みプロセスパワースピードPPI/HzPassesAir assistZ-Offset
2mmカット750.70100001ON0
3mmカット750.50100001ON0
5mmカット500.15100001ON0
5mm
クリア
カット500.10100001OFF0

パラメータを設定すると、おおよその加工時間が計算されます。一応キッチンタイマーで実時間も測ってみましたが、この表示はかなり正確でした。

材料のセッティング

いよいよ材料を加工機にセットします

カインズでは最初からハニカム構造のベースがついていますが、このまま直にアクリル板を置くと、ハニカムの薄い板が当たってるとこだけ、材料が溶けるといった結果になります。なので材料を空中へ浮かす必要があるのですが、今回は50x50mmのアルミアングルを使用し4周へ配置しました。長さも300mmで加工材料にちょうどいい長さです。真ん中は材料が落ちてしまわないように、こちらもH50mmのアルミ角を置いています。

アクリル板を置いたら操作パネルで作業台を上下させてレーザーのピントを合わせます。

ノズルをここを基準に切ってほしいという所まで移動させてから、JobControlで原点を合わせます。

加工作業

JobControlでスタートボタンを押すと加工が始まります。5mmはゆっくり切らないといけませんが、2mmの場合は結構なスピードでノズルが動きまくります。

透明部材はむに~って溶けていく様子が見られるので気持ちいい

加工中はピー(もしくはビー)っていうレーザーを照射する音と、レーザー特有の焼ける匂いがあたりに立ち込めます。

その他の注意点

あとはひたすらこれを繰り返していくだけなのですが、加工中は機械のそばを離れてはいけません。設定をぎりぎりまで攻めているとたまに炎が見えるので、やばい!と思ったらすぐにふたを開ければ加工はストップします。

また、加工中に隣で次のデータと材料を用意しておくと流れがスムーズです。

あとは休日にやっていると他の一般客が珍しそうにのぞき込んできたりするので、機械を触ったりしないよう、切り終えたものに勝手に触れないよう警戒しておく必要もあります。手慣れてきて作業がスムーズになるほど、店員と間違われることも多くなるので適当にあしらいましょう。

この間実際にあった話。
A「すみません、トイレにスマホの忘れ物があったようなんですが・・・」
僕「僕店員じゃないんであちらのレジの方にもっていってください。」
 ~ 数分後 ~
B「すみません、スマホの落し物はありませんでしたか?」
僕「僕店員じゃないんですが、あちらのレジの方に預けられてると思いますよ」

成果品

ということで切り出し終えたのがこちら。左のが今回のです。右のはついでに作った別のものです。ほとんど同じデザインですが、詳細はまた改めて紹介します。

なかなか枚数切りました。

サイドパネル、ビデオカード用の排熱スリット。
実は今回、枚数が多かったこと、設定出しに手間をとられたことから、失敗も含めて何回も、何週にもわたってホームセンターに通いました。写真も何回かに分けて、余裕があるときに撮っていますが、その間にデータ修正をしたり、やり直したパーツもあるので、これまでの写真に一部不整合があることをご了承ください。

角のR部分はなぜか少し角がついてしまいました。このままでも許容範囲ではありますが、今回はさらに仕上をします。

後加工

せっかくホームセンターで作業をしているので他の加工もついでにやってしまいます。

据付のボール盤を使用します

こういう沈めフライスと座繰りカッターを持ち込み。

レーザーで開けたガイド穴にはめてシュルシュル削ると・・・

段付きボルト用

皿ビス用

ということで、パーツも出来たので次回やっと組立編です!

KITAMULABODIY, コンピュータ / 20.03.28 /