Revitのベンチマークを計測してみた

2020.11.25

BIMを導入するのにどれぐらいのパソコンの仕様が必要なのか悩みますよね。XeonがいいのかCoreシリーズで良いのか、グラフィックはQuadroの方がいいのか、等々。国内の情報だとどうもはっきりしないので、自分でRevit用のベンチマークを取って検証してみました。明確な結論はまだですが、方向性は見えたかなという感じです。

Revitのベンチマークソフトは?

ベンチマークソフトっていうのはそのソフトを動かした時のパソコンの性能を数値化するソフトです。調べてみるとこういう物がありました。

https://revitforum.org/showthread.php/35955-RFO-Benchmark-v3-X

海外のRevitのフォーラムより「RFO Benchmark」というものです。

上のリンクからRevitのバージョンに合わせたプログラムがダウンロードできます。ダウンロードしたZipファイルを解凍すると8個のショートカットが含まれています。

「Full_」と書かれた3種類が通常の操作、「Graphics_」と書かれた4種類が表示関係に特化した操作、「Terminate」っていうのはベンチマークを途中で終了させたい時に使用します。どれでも起動してみると、実際にインストールしているRevitが起動し、所定の操作が自動で行われ、内部でその処理にかかった時間が記録されていきます。処理が完了すると結果がテキストデータで保存されます。詳しくは「Readme」をチェック。

実行中・・・

出力結果はこんな感じです(一部省略)

各操作、処理にかかった時間(秒数)が表示されていますので、これらの時間が短かければ短いほど高速で快適に動作していると言えます。

今回は出来るだけ細かく測定したいので「Full_Standard」と「Graphics_Expanded」の2種類を実行します。

測定環境

今回ベンチマークを測定するPC構成です。全くタイプの異なる2種類のCPUと2種類のグラボを用意しました。

構成①ゲーミングPC構成②サーバーPC
マザーボード
チップセット
AMD B550Intel C621
CPURyzen7 3700X
8コア16スレッド
3.6GHz – 4.4GHz
全コアTB 4.0GHz前後
XEON QQ89 Cascade Lake-SP
第2世代 Scalable Processor ES品
24コア48スレッド×2CPU
2.2GHz – 3.7GHz
全コアTB 2.7GHz前後
メモリDDR4-3200(UDIMM)
16GB×4枚=64GB
DDR4-2133(RDIMM)
16GB×16枚=256GB
ストレージ
(Cドライブ)
CFD販売 M.2 SSD 2280
PCI-E Gen.4 x 4 1TB
maxSW 5,000MB/s
maxSR 4,400MB/s
トランセンド M.2 SSD 2280
PCI-E Gen.3 x 4 1TB
maxSW 3,400MB/s
maxSR 1,900MB/s
電源FlexATX 600WSFX-L 800W

構成①は自作PCでよく見られるゲーミング仕様です。グレード的にはミドルハイといったところ。近年勢いのあるAMDのRyzen7(IntelのCore i7と同等)に高速なオーバークロックメモリを組み合わせ、更にAMDのCPUでのみ利用できる高速なSSDを組み合わせています。

半年前に筐体から製作したメインPC 制作紀はこちら

対して構成②は超メニーコア&大容量メモリのサーバー仕様です。XEONのESを2個使用し、普通の自作では絶対に拝めない夢の構成になっています。絶対的な速度は①に劣りますが、膨大なデータを一度に扱うことが出来ます。

今回追加で用意したサーバー仕様マシン

この2台をベースに、グラフィックボードを2種類用意しました。

A:一般的なゲーミング用「GEFORCE RTX 2060 Super

B:CAD・モデリング用「Quadro RTX 4000

値段は3倍以上違いますが、内部的な使用はほぼ同じミドルクラスのグラフィックボードです。(両方ともめずらしいNVIDIAの直売品)正確にはQuadro RTX 4000Geforce RTX 2070と同じですが、2070の後に出た本来下位グレードの強化版であるRTX 2060 superの方が安くて2070と同等性能ということで、そちらを選びました。詳細な仕様は下記参照。

Quadro
RTX 4000
Geforce
RTX 2070
Geforce
RTX 2060 super
アーキテクチャTuringTuringTuring
CUDAコア230423042176
定格クロック非公開14101470
ブーストクロック非公開16201650
VRAM規格8GB GDDR68GB GDDR68GB GDDR6
VRAM帯域幅416GB/s448GB/S448GB/S
TDP160W175W175W
参考価格
2020年11月時点
¥140,000 ~¥50,000 ~ ¥40,000 ~

以上、本体2種類とグラフィックボード2種類、4通りの組み合わせで計測しました。

計測結果

記録された処理時間をEXCELでグラフにまとめてみたものが以下になります。

通常操作の「Full_Standard」。なんとレンダリング以外は全てRyzen環境のほうが高速、またほぼ全ての場合においてQuadroよりもGeforceが高速という結果になりました。

表示関係の「Graphics_Expanded」。こちらもほぼ全てRyzen環境、Geforceの方が高速という結果になりました。

この速度差について注意しておかないといけないのは、Ryzen環境のほうがストレージのSSDが約2倍高速です。(PCIe gen4とgen3の違い)この差も結構効いて来ているのではないかと思いますので、絶対的数値についてはあまり正確な比較にはなっていません。ただ、たしかに言えるのは8C16TのRyzenより、48C96TのXeonが速くなかったという事実です。Quadroも同じ。Geforceより速くないね、という感じです。

なぜコア数・及び合計クロック数が大きいのに高速にならないのか?

続いて、計測時のCPU使用率を表したグラフが下記になります。計測にはHWiNFOという別のソフトでログを取って、同じくEXCELでグラフ化しました。クリックで拡大します。少し見にくいですが、オレンジ線がどこかのスレッドの最大使用率で青線がCPU全体の使用率になります。

通常操作の「Full_Standard」

表示関係の「Graphics_Expanded」

どちらもざっくりですが、Xeonの方がCPU使用率が低く、メニーコアを活かしきれてないことがわかると思います。ということで、この時点での結論はこの4種類の組み合わせならRyzen+Geforceが速く、おすすめであると言えます。

ここで新たな疑問が生まれてくるのが、一体Revitは何コアまで利用するのか?何コアが一番速いのか?ということ。ということで2つ目の検証を行います。

検証2

ではコア数の違う別のRyzenを複数個用意しまして・・・と言っても出来るわけではないので・・・せっかくなのでXEONをベースに検証していきます。

大は小を兼ねる!ということで4コア8スレッドから48コア96スレッドまで、4コアピッチで「Full_Standard」を回してみた結果がこちら。グラボはQuadro固定です。クリックで大きくなります。

※横軸は処理時間を秒数で表したもので、数値が低いほど速い
※各処理で一番速い結果を黄色で塗っています

これを見ると24コア48スレッドまでは順当に高速化しています。レンダリングなら32コア64スレッドが最速ですがそれ以上は速くならないようです。逆に最もマルチな48コア96スレッドはちょっと遅いという結果に。このあたりはコア数の割付の相性やCPU個体の問題もあるかもしれません。28コア56スレッドも何か変です。(怪しい値になった部分は再計測しています)

結論

今回の検証からRevitを動かすパソコンの仕様は「ゲーミングPC」でOKです。グラフィックボードもゲーム用、Geforceの方がおすすめです。

とりあえずこれ買っときゃ間違いないねってCPUはAMD Ryzen 9 5950X

シングルスレッド性能最速にして16コア32スレッド!なのにMini-ITXでも組める!っていう代物。2020年11月下旬段階では発売直後で在庫わずか。

これ以上マルチスレッドになると、代わりに動作周波数が下がっていくし、全てのパーツのグレードとサイズが上がってくるので、どんどんコスパが悪くなっていきます。

一応あえてXeon等のプロフェッショナルグレードを選定するメリットも触れておきますと、Xeonは温度上昇時の制限が低いこと、エラーチェック機能のついたECCメモリが使用できるなど、安定と信頼性が違います。24時間マシンを動かして、いざってときに壊れる確率が少ない、その保険のために選定するという場合もあります。

ただ、同じ速度の一般向けCPUと比べると高価です。CPUだけでなく、マザーボード、メモリも全て高くなりますので、よほど予算に余裕がある場合を除いて、ゲーミングPCをおすすめします。

ちなみに、今回は純粋にRevitの動作のみの検証で、Revitの動作のみを最優先した場合のおすすめ構成になります。使用している他のソフトや業務内容によって、おすすめの構成は変わってきますのでご注意下さい。

国内でRevitのベンチマーク情報は少ないので、これからもあたらしいPCができましたらデータを集めていこうと思います。以上!

Tag: Revit , ベンチマーク
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