KITAMULABO

現状のBIMが抱える問題と不満

499 views
約6分

だいぶ建築業界の標準になりつつあるような設計システムであるBIM(Building Information Modeling)
巷ではこいつを如何にうまく導入し、活用するかが、今後の建築業界を生き残っていく上で必須のスキルである、と騒がれているような雰囲気で、かくいう僕自身もたまに触ってみては自身の業務への活用を勝手に実験してみたり、業界団体で勝手にセミナーしてみたりするわけですが、いろいろ検討してみて、たしかにベターではあるけどベストではないのでは?ということ、全ての建築がBIMで生産されればいいのかと言うと、そういうわけではないんじゃないかと考えるようになったので、その理由としてBIMの抱える問題点と個人的な不満をまとめてみます。

ソフトウェアとして古くなってきた

そもそも古いよねって思う点が5つありまして、順に解説していきます。

①実際古い

日本でBIMの普及が広まりだして「BIM元年」と呼ばれるのが2009年。今はすでに2022年なので、日本の中だけでもすでに丸12年経過しているということになります。そもそもBIMっていつから存在するんだい?と思ってWikipediaで「Revit」の項目を引いてみると、「Revit」の名がつく最初のバージョンが2000年に発売、Autodeskが買収して「Autodesk Revit」となったのが2002年、BIM元年の頃に出ていた 「Revit Architecture」 となったのが2007年。ということは既に20年以上歴史のあるソフトのようです。僕は 「Revit Architecture」 の頃からたまに触ったりしてましたが、基本的にソフト自体の設計思想はあまり変わってないように思います。

②ローカルのハードウェアに依存するシステム

BIMは3Dモデルがベースなので、そもそもモデリングソフトが動くぐらい3D演算性能の高いパソコンが必要です。大きくて重いデスクトップが設計事務所のデスクだけでなく施工の現場事務所にも用意しなければ行けません。それぞれのパソコンに容量の大きいBIMをインストールし、アップデートも個別、社内テンプレート等も個別に読み込む必要があります。数が多くなると中々手間を取られます。当たり前といえば当たり前ですが、なので、いつでもどこでも仕事というわけにはいきません。

③ハイスペックでハイコスト

BIMはものすごく高機能です。出来ることがほんとに多い。意匠図もパースも構造図も設備図もかけ、更に最近ではビジュアルプログラミングやAIも利用できます。今までにないような複雑なデザインも可能。なのでものすごく高価ですが、職種や建築規模によって一切使わない機能もいっぱい含まれるので、その分は無駄になります。なのである程度機能をまんべんなく使うような会社や建築規模の物件じゃないともったいない、ということになります。一応RevitでもArchicadでも、LTやSoloと言った機能削減板はあるのですが、言ってしまえばその2択しかありません。共同作業はしないけど、Dynamoはほしい等、機能別にオプション組めたりする事もできません。これはメーカーのやり方次第で、すぐにでもできそうなのですが、これも小規模な会社や個人の設計事務所に普及していかない一つの原因かと。

④仕様をユーザーで整備しないといけない

買ったらすぐに使えるというわけではなりません。操作の練習だけでなく、パーツやテンプレート、各種仕様をユーザーで整備していく必要があります。あくまでCADというツールに過ぎず、業務システムではないからです。買ってはみたけど、うまく使えていないという場合はここが原因。当たり前っちゃ当たり前の話なんですが、中々面倒であることは確かです。 

⑤日本の実務を前提に作られているわけではない

主な2大BIMは海外からの輸入です。もちろん日本向けにローカライズされていますが、始めから日本の実務は全く想定されていません。Revitはアメリカの実務に適したシステムです。だからなんかうまくいかない。

また建築実務のうち、実際に設計図を書く、っていうのは業務の一部にすぎないですよね。設計以外の積算や施工に使おうと思うと、またシステムを組まないといけない。やっぱり面倒です。

社会構造から見るBIM

BIMは現在、国交省主導でBIM推進会議が行われて、スーパーゼネコンを中心に色んな仕様やパーツデータが整備されつつあります。

BIMが普及して皆がBIM使えるようになったらどんな社会になるのか考えてみると、日本の建築業界は国内の需要に供給するだけなので、今後少子高齢化が加速し経済が縮小していく中、建築需要は明らかに減っていくと思われます。この中でBIMのソフトに対するコスト、パソコンに対するコストが増えるということは、ただでさえ縮小産業なのにアメリカ等の海外にもっと吸い上げられる、という状態にならないでしょうか?

多少早く帰られるようにはなるかもしれませんが、これって業界全体にとっては得な話なんでしょうか?

僕はちょっと疑問です。

どうしたらいいのか?

やはり新しいシステムが必要だと思います。

今までの線や3Dモデルといった建築CADの固定概念を捨て、もっともっと建築を構成する要素をシンプルに定義することは出来ないでしょうか?

そうすることで、より速く、より安く。

プログラミングやデータベースとも親和性の高い構造とし、ある程度の作業を自動化出来るような

今まで意匠設計、構造設計、確認申請、積算、施工 等縦割りだったものを、統一・共通化してすーっといくような

必要なのはCADというより、プログラミングで言うところのフレームワークみたいな仕組みなのかもしれません。

また現代の日本の建築では、名だたる建築家の先生が見たこともないような突飛ですごいデザインの設計をする、ということはかなり少なく、99%の建築需要はできるだけ安く・早くの高コスパな建物が求められると思います。経済発展しないならなおさら、もっとよりケチに。効率重視になるとどうしても四角いシンプルな構造になります。

このシンプルな四角い箱を如何にスピーディーに大量に生産できるか、という事をメインに据えたほうがいいような気がします。

また、効率の良い生産システムが出来た場合、結局建物の構成要素は全世界でも共通のはずなので、BIMの逆で日本から海外に輸出することも可能なような気がします。建築業で外貨を稼ぐのはこの手段しか無いんじゃないでしょうか。

Leave A Reply

*

CAPTCHA


Share / Subscribe
Facebook Likes
Tweets
現状のBIMが抱える問題と不満
このページのシェアはこちらのQRコードで!