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熊野町で公募型プロポーザルの公開審査を見学する

/ 19.05.01
建築

広島県は熊野町で「 東部地域防災センター(仮称)新築工事 」に伴う基本・実施設計業務の公募型建築プロポーザルが行われています。こちらの 公開ヒアリング・公開審査が4/26(金)に行われたので、見学に行ってまいりました。

概要

場所は熊野町民会館で行われました。 平日にも関わらず大勢の傍聴人です。それもそのはず、こんな片田舎の(失礼)プロポーザルで審査員が豪華なんですね。

委員長:名古屋造形大学 学長  山本 理顕
副委員長:東北大学大学院 教授 小野田 泰明
委員:広島工業大学 名誉教授  村上 徹
委員:広島県 土木建築局 建築技術部長 的場 弘明
内部委員:熊野町 副町長 内田 充
そうそうたる面々 山本理顕初めて見ました。

一次審査を通過した5名(左から順に)
一級建築士事務所大西麻貴+百田有希/o+h
有限会社乾久美子建築設計事務所
宮本設計・宮本佳明建築設計事務所共同企業体
株式会社高池葉子建築設計事務所
株式会社藤本壮介建築設計事務所

アトリエ系しか残ってませんw。藤本壮介って結構背が高いですね。

早速くじ引きでプレゼンの順番を決めて、1社25分ずつのプレゼン及び質疑応答タイム。

開演前、会場の前にプレゼンボードが貼ってあったんですが、群がる人が多くてうまく見えなかったので、逆に一切見ずにプレゼンに臨むことにしました。
(写真だけでも撮っとけばよかったです。熊野町WEBで公開してないんですよね。)

プラン概要

言葉だけでざっくり各プランを解説すると(無謀)プレゼン順
①大西麻貴
熊野だけに一筆書きの渦巻の壁で構成する。この壁が川が氾濫した時の防波堤にもなる。壁の内側が長いスロープになっており、ゆったりと2階にアプローチされる。そのスロープに包まれるようにして広場がある。RC造。
②高池葉子
広場を取り囲むように建物を配置(Uの字状)。広場の上部は膜構造(テント)で開閉式にする。1階床レベルを80㎝まで上げて浸水対策。シミュレーション済み。鉄骨造で軽い上屋とする。
③藤本壮介
町のシンボルとなる灯台のような塔を持つプラン。塔から煙がのぼり、灯りがともることで平時には安心感を与え、災害時には避難場所の目標とする。また、建物いっぱいの幅の大階段と2階に広場を設けることで、ひどい浸水時の避難場所と、分かりやすい避難導線を確保。
メインはRC造だが、塔部分は鉄骨造、階段部分は外構工事としてコストを抑える予定。
④乾久美子
熊野町の瓦屋根の民家をモチーフに、小さいに棟がいくつか集まったような集合体を2階のプラットフォーム上に配置。浸水時は2階に避難するようにする。1階は開放的な平常時の交流の場とする。
⑤宮本佳明
民家の瓦屋根を集合させ、その間に異質の屋根を配置して通り土間のようにする。建物自体が一つの町みたいな雰囲気。

審査

まず山本理顕の解説がわかりやすいです。
この公開審査の意義と目的。それぞれのプランのいい点、悪い点。そもそもの公共建築の役割と機能等の解説。傍聴席の我々や町民の方にも配慮した内容でした。
だけど自分のお気に入り案が変な感じで突っ込まれると、わかりやすく反論してるので面白いです。

山本理研の一声で今回は審査も全て公開でした。
小野田先生の進行をバッサリぶった切る山本理顕。もう一人1案(1票)でいいんじゃない?
いつの間にかプランの添削をし始める村上徹。村上先生、ゼミみたいになってますよw
建築界の大御所が真剣に仕事をしている状態を見学できるのはそれだけで勉強になりますし、審査まで公開なのは珍しいそうですが、こうやって決めるんだな~ってのは見てて面白いです 。

審査中 提案者に再ヒアリングをする場面も(藤本壮介)

結果

決まったのは一級建築士事務所大西麻貴+百田有希/o+h
尾道の御調支所は完成してたみたいなのでぜひ見に行ってみたいですね。

次点は有限会社乾久美子建築設計事務所となっております。
決定プランだけでもWEBで公開されればいいんですが、GW明けに出るかな?熊野町。

感想

ここからは完全に素人の蛇足です。

個人的にはプランの完成度、意匠性、現実味からするとやっぱり藤本壮介が一番良かったように思います。が、なんか全体的に君は売れてるからいいでしょ、みたいな雰囲気があって1票も入らなかったです。質疑の時に「答えになってないのにさも答えたような雰囲気を出してくる、流石ですねぇ」ってからかわれてました。(プレゼンも一番うまかったです。)

決まった大西さんのプランは建築的にすごく面白くてかわいいです。当初から山本理顕のお気に入りな感じでした。決まったことについては問題ないと思いますが、実施設計のまとめ方や施工性を考えると、もしかしたら熊野町レベルでは計画が難航するかもしれません。広島市内の新白島駅みたいにブツ切りになっていくことがないように進めてほしいものです。また村上徹は車導線と歩行者導線が交差することによる危険性を指摘していたので、どちらにしろプランは変わっていくと思われます。その過程を追っかけていくのも面白いかもしれません。

高池さんは建物に取り囲まれた広場が高評価でしたが、テント屋根の耐久性と、部屋割りの複雑さ、外観に表と裏があることが指摘されていました。またこの方は伊藤豊雄の事務所でみんなの家とか担当していたそうです。それで避けられたってわけじゃないんだろうけど。

乾さんは宮島口のターミナルもとられてますね。
熊野町の民家の街並みになじむようにという案は建築的には面白いものがありますが、埋もれないかなとも思いました。また建物がこじんまりしすぎていることと、外構の使われ方がまだ計画しきれていないような感じでした。

宮本さんは、ちょっとレベルが低かったような。僕の中では論外かなと。
かっこいいわけでもないのに模型1/50で作っちゃって、いっぱい大学生が運んでいました。もっと他に練らなければいけないことがあるようなプラン。「ゲンカイ」ハウス。

審査自体は面白いです。広島でなかなかこれだけのメンツが揃うことは少ないかもしれませんが、機会があったら見学していきたいと思います。

KITAMULABO建築 / 19.05.01 /